ニヤッと女性・施設 / フランケンシュタイン誕生・カイロ

 作業も一通り終わって、ハンドペーパーの補充に手提げカゴに積み込んで居住者のトイレ・6か所を周った。  

 その階の手押し車を押す女性はいつも僕の邪魔をする。僕がトイレ掃除をしたいなあと思っていると、先にトイレに入って鍵をかけてしまう。それで後回しになり、2度手間をとらされる。

 その女性が、僕がそのカゴ格好で出向くと、僕のほうに身体と顔が向いており、ニヤッとしていた。それは僕がまたこんなことをしているなと見つけたことを笑っていたからだ、と思う。その女性が笑うとは思っていなかった。憎々しげか冷たい表情だと思って僕はその女性の顔を想像して見て、面白い方向に裏切られた。

 そのカゴをもって居住者トイレを周るのは、いつもはトイレットペーパーとハンドソープを一緒に持っていく、悲しい感じを感じている。豆腐売りの叔父さんが、チャルメラというのでしょうか? プーピープーと吹くあの笛です。あのおじさんを僕は見たことはないけれど、ドラマで出てくると悲しい感じがする、そのおじさんと同じようなものを自分に感じている。その補充のためのトイレ周りが女性には、こいつ、またやっているなと見つけたから、ニヤッとしたのでしょう。

 その女性が笑っていたのが、僕にはまたおもしろく感じられた。


・整体へ行きました。首を伸ばして頂きました。頭と首の接合部が硬いそうです。グギッとやって回りきらなかったから、先生はそう思ったのでしょう。まだ伸びるそうです。硬いのも何回も回せば柔らかくなるらしいです。
 整体は、僕は自分のことをフランケンシュタインみたいだなと感じました。生みの親が、科学で化け物を作ってしまう、命を吹き込んでしまう、それと似ているなと。
 整体の先生に、首の潰れた、猫背の僕を生まれ変わらせてくれているから。

 整体がどういうところかわかってきました。正確にはカイロプラクティックですが。先生は、準備段階として、どこがどうなって歪んでいるかチェックして、徹底的にチェックして個所を見つけ、その個所をグギッとやる。首と背骨をやって頂きましたが、結構、柔道とかの武術に通じるな、男の世界だなと感じました。殺風景なというべきか。
 
 僕は先生の技を掛けられに、いそいそと出向くのでした。そして治療として先生の技を掛けられ、よくなっていくという、人体実験のような、結構グッとくる荒っぽい世界なのでした。繊細に先生は治療してくれますが。
 なんとなくカイロの世界が見えてきました。僕は上半身が格好良くなりました。裸の上半身を見てウットリするような格好良さを感じます。ナルシストのような表現ですが、前の裸とは全然違う。先生に作って頂きました。