裏返し

 今日は調子が悪いらしかった。
 居住者空間のトイレ2か所で、おしっこの水たまりができていた。僕はわざとだと思っている。
 帰りの交通機関で、周りの攻撃したそうなのに付き合う気はさらさらなく、全部やりこめたかった。おしっこでこれ以上要らない気持ちになっていた。(心に余裕がなく、硬直に近かった)

 家に帰ってきて振り返り、逆向きに考えた。

 仕事は負けるためにあるのではないのか。雇用主のやらせたい労働をやるわけで、それを行うことは負けること。
 おしっこが撒かれて、僕はきれいに拭き取り、ブリーチも使い跡形も無くしたが、居住者に負けているのが清掃人たる僕の役目。
 
 ちょっと目先を変えて、試合で勝ち負けは発生するが、負けるというのが大事な役目で、勝ちはたまたま発生する付加的なものではないのか。試合というのは勝ちを発生するためにあるのではなく、負けを担う人間を大事にするためにあるのではないのか。負けのほうに価値がある。負けた時の感情や感覚、他者のために負けるという共同体に対する役目が大事だろう。
 おしっこを拭き取るという、共同体に対する役目。負けの役目。わざとだという屈辱感。≒敗戦感覚
 おしっこをした居住者に負ける、負け感覚が実は一番大事で臍なのではないのか。この感覚があるのでこれを打ち込んでいる。共同体に対する負け。

 だから今日という調子の悪い日が最高の贈り物で、その目的は負けを知るためにある。労働という負け。共同体・居住者に対する負け。負けは根幹で最も尊ばれる・たっとばれる ものだ。負けこそ前進の良薬だ。<おわり>