24 Tue


 朝の作業所では、ボスがにっこり微笑み話しかけてくれた。着物を裂いて糸玉を作り、次のを作るみたいだ。
 どうも裂き織りの次回作を許可されたようだ。裂き織りの出来は良いと判断されたと感じた。

 頭の悪い僕はすぐ、作家先生、と言う言葉が浮かんだ。オリジナルとか。しかし、昼はやってきてカレーが並び、それの皿洗いになった。僕は一生懸命皿にこびりついたカレーを洗剤とティッシュで拭った。皿を洗っているうちに、皿洗い要員、と言う言葉が浮かんだ。僕は皿洗い係りだったのだ。ただの皿洗いになった。作家先生はここでは必要とされず集団の中での皿洗いを僕は任されていた。
 せっかく腰を低めたので、ゴミ集めもやっておいた。せっせとゴミを集めて回った。ここではゴミ係りだった。それで、僕は浮かれた気分がぶっ飛んでバランスが取れた。皿洗いとゴミ集めはリフレッシュにはうってつけだった。

 この間の裂き織りは、黒に挟まれた光の部分とか、黒続きのグラデーションとかクラシック音楽躁状態と鬱的なゆっくりと冗漫な沈んだ部分を取り入れたつもりだった。

 この裂き織りの量産化を期待されるなら、僕も戦略的に刺激を取り入れ、作戦を練っていかないと無理だろう。古本屋の美術商が目録を作って送ってくれるのだが、本などそんなに買わないと思っていたけれど、画家の名前を一個ずつ検索にかけて、知らない人たちを覚えていくのも手だろうと思う。自己模倣だけは嫌だ。量産化するなら全部変えていきたい。一個ずつテーマを作り、そのテーマで作っていく。失敗も許容されると思う。ボスにではなく、自分自身が許容できると思う。

 偉そうに書いてきたので、ハナモゲラ、パンパンで終わります。いまの僕のアイドルは小谷博貞氏です。買ってしまいました。小さい本。この人のように描けたら僕も画家を名乗れるだろうけれど、そんな才能はない。爪の垢を煎じて飲もう。うまいぞー、爪の垢。