おんな

平成29年9月22日 金曜日


 きみのお尻、かわいくてsexualでたべちゃいたいよ

 そう、そんなにほしい? あたしのお尻、ほしい?

 もちろん、きみはかわいいよ、ぼくはこんなにほしいんだ。

 あなた、いまだけわたしがほしんでしょ。ずっとあいしてくれる? ずっとじゃないでしょ。すぐに色あせるのよ。うつりかわって。あたしが更けたら別の女に手を出すのよ。
 
 そうかもしれない。的を得ているよ、きみのいうことは。僕はきみに今、勃ちあがっているんだ。ほしいよきみが。どれだけほしいかわかるかい。

 あなたに抱かれるのは簡単よ。でもいっときのことは嫌。あなたはえいえんのひとじゃない。去る人よ。だからいや。

 こんな僕をどうにもしないなんてひどいじゃないか。どうすれっていうんだ。こんなにもりあがっているのに。



 あなたはいやなの、さよなら。(手を払いのけ立ち去ろうとする。男が手をつかんで、女の腰に手を回そうとするのを、強引に振り払って女退場。男は取り残される。一人部屋でマスするのか。男は見透かされた。女を愛する人ではないのを男は分かっていた。一人で盛り上がり、一人萎(しぼ)んだ、男にとっての真の女は立ち現われるか。



現れる時は、女を正面から個として見て、女の一生を照らし伴奏する覚悟を持ち、醜さ、厭らしさ、不快さ、挫折をも背負って人生を女との個人としての道を孤独に歩む覚悟のできた時だ。男も個人として存在の暗さを正面から捥(も)ぎ取り、おのが栄養として生命の流れの一部となり朽(く)ちていくところまで覚悟しなければ、死ぬまで添い遂げることはできないだろう。女に覚悟はあった。男にはこのときまだただの欲望だった。


 あなたじゃないのよ、
 おんなはひとり吐き捨てた。




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