椎名林檎・闇に降る雨を聞きながら打った。



2014/6/8(Sun)



手をへし折った。ぐしゃぐしゃになった。雨が降り続き、鉛色の空に塗り込められている。足が折れた。ぐしゃぐしゃになった。頭が割れた。脳漿が飛び散る。



もうだめだ。どうにもならない。地面がひび割れ、たけのこが生える。ぐんぐん大きくなる。天をめざし、宇宙をめざし、空に伸びる。月を突き刺し、火星に穴をあける。



出口がないなら、言葉がないなら、聞くしかない。風を聞け、海を聞け、星を聞け、貝の鳴る音を聞け、唇を聞け、耳を聞け、首は嫌だという、おまえの眼は爛(ただ)れている。俺の唇は腐っている。足がへんてこな方を向くなら、手は伸びていく、きみは気味が悪い。僕は臭い。空にかかる月は黄色くでかい。破れる音がする。細かく千切れ散っていく。ダメージは蓄積され、削っていく。身は細り、息も絶え絶えに、肺に残る空気はない。



海鳴りがする。遠くで、遠くで。暗い夜、ひとりでとぼとぼ歩き灯台を目指す。地面に飲まれる。吸着され、とけていく。どろどろの黄色い膿(うみ)。汚らしい、臭い、剝げた、鉄屑。ちぎれていく手足。耳のなかの貝はつぶやく。もうおまえだめだろ。そろそろ腹をくくったらどうだ。もうだめなんだろ。爪が割れ、血が滲み、包帯に巻かれた頭、グルグル巻きにされ、縛り付けられ、壊れていく、柱時計ががんがん鳴り、鳩が吐き出される。きみはひつようない。もう期限が切れた。もう用はない。消え去れ。きえろ、どこかへ行け。潰れた。ひろがる染み。爛れた皮膚。きみは口を利かず、俺は喋りまくる。涎(よだれ)が垂れ、股間を濡らす。ああ、俺はなんて惨(みじ)めなんだ。お漏らししたみたいだ。目やにに目が塞がれ、方向を失い、穴に落ち、崩れた。



0:10夜中終了、椎名林檎・闇に降る雨を聞きながら打った。