客注:1日目。

 客注の着物1枚目:
 
 渡された。時間をかけていいから穴をあけないようにと。客注だとも言われた。  スタッフのぶっ潰しはなかった。そこで安心した。

 しかし、失敗はいけないだろう感は強くあった。でもこの捉え方は実際の場面ではよくない。


 まず、確実な商品を作る気持ちを強く持とうとして取り掛かった。確実な商品は、失敗というものを寄せ付けない、確実な動作だけからなる。あいまいな動作をしないように気を付けた。
 昨日用意した長めの針を自信のない箇所で使った。一重着物の、裾の角、丸めてほつれないようにしている・角の直角部分。ここで、糸を針で引っ張り出して縫い目を取り除いた。


 かくじつな商品なので、同僚たちの潰しの気合にも動じているわけにはいかない。僕としては、ほどいている縫い目の着物の全体に ☆確実な商品☆という息を吹き込もうとした。★

 着物のクシャっと置いてある全体に、確実な商品という息吹を吹き込む気持ちを持とうとした。着物を生き物ととらえ、生理現象が最大になるよう、着物の束を命ととらえた。息を吹き込むとは、僕の命を与えるという発想に近い。


 昼食近い時間、昼食後は、意識が定まらなかった。でも、気持ちを注ぎ込もうとはしたいという願望はあった。定まらない時間も一定時間あった。

 皿洗い後の時間は、ごみ集め後の時間は割とまともだった。でも、午前中よりは注意散漫だった。



 気を付けたのは、着物の生地から一本だけ糸がループ状に飛び出してしまうこと、これを避けるため、ゆっくりやった。確実になるように左手親指を添えて糸をリッパーで切っていった。

 進退がかかっている感じは何となく雰囲気で感じた。ボスからも声がかかりゆっくりやるよう指示をもらった。僕が着物を破っているのはスタッフ間で共有済みだったみたいだ。

 最初の一時間は入り方を間違わなければできる。その後が課題だった。
 危ない行動はしない。確実な手続きを踏みつつ進める。曖昧な手は退・しりぞ ける。

 柱は:確実な商品となるため全力を尽くす:曖昧や危ない手は使わない:確実になるように手を考える=アイデアを出そうする よって不確実を退ける

 

 何といっても、今日は調子は良かった。だから動けた。問題は不調時。こういう日は一定期間に必ず顔を出す。だから対策が必要になる。確実な商品という大黒柱は死守すること。そのためなら何でもやろうと、アイデアを出したり、息抜きしたり、

 その日の限界を感じたら、客注から手を放そう。遅くなって迷惑をかけるが、別の日に朝早く出かけて取り組めばいい。無理な日は無理をしない。手放すこと。これが鉄則。出来ない日と割り切れ。

 手が縮こまっている日:この日も取り組まない。別のことをする。嫌な顔をされるかもしれないが。

 確実な商品とは、クオリティを守ることでもある。そのために肌を脱ぎ、アイデアを出す。一定の品質の守られて維持しているもの。曖昧、危険、品質の劣化は排除すること。そのためだけに客注という商品はある。