認知行動療法、べてる式。 引用と感想

認知行動療法、べてる式。 、伊藤絵美/向谷地生良医学書院 DVD付 高いセット本



引用:p039

: ~A子さんは頻繁にリストカットしていたので、エピソードが起きるたびに筆者はソクラテス式質問法を使って、
「その日、どんなことがあったのか」「いつ、どこにいて、それはどんな状況だったのか」「どんな状況で、リストカットのことが頭に浮かんだのか」「そのときどんなことが頭に浮かんでいたか」「そう考えたら、どんな気分になったか」「その気分の強さはどれぐらいだったか」
「そのとき身体にはどんな反応があったか」「そう考えながら、実際には何をしていたのか」

といったことをA子さんに問い、「次にもしリストカットしそうになったら、認知行動療法のモデルに沿って、今はどういう状況なのか、今の自分に何が起きているのか、細かく自己観察してきてください」という課題を繰り返し依頼した。


(kurage0147130):引用者:
 僕を担当してくださっているカウンセラーの先生もこのような質問をなさいます。気持ちと身体の状況を確認なさります。カウンセリングの雰囲気を伝える良い質問の連続だと思う。この本、高いので、気まぐれで奮発して買ってしまった。中身がすごく良いのでお得だった。読みたかった内容てんこもり。






引用:p058:
: ~さらに、べてるでは、過食や拒食を経験したことのある10名の当事者が集まって「摂食障害研究班」を立ち上げ、研究を行ったが、その際に立てた問いは、「どうしたら摂食障害になれるか」というものであった。

 いままで、「いかに治すか」に腐心しながらも結果として食べ吐きに走り、罪悪感に苛まれてきた経験者たちにとって、「どうしたらなれるか」という視点は大いに受け、議論も盛り上がった。
 [浦河べてるの家 2005:12]
 


(kurage0147130):引用者:
 真骨頂、当事者がなっているのに、どうしたらなれるかと初心者・部外者のように問いを立ててしまう。ものすごい展開と柔軟さ。正面の問いでだめなら、裏側から見てしまえ、みたいな発想。






引用:p060:
:~認知行動療法認知心理学の問題解決研究、ヴィクトール・フランクルの思想、べてるの実践において扱われる“問題”は、そのような深くて大きな問題、すなわち原因を指し示しているのではない。認知行動療法や問題解決研究やフランクルやべてるが志向する“問題”とは、あくまでも目の前にある、自らの生活や仕事におけるような、そういう具体的でわかりやすい問題である。

認知行動療法では当事者が抽象的で大きな問題を訴えても、それをアセスメントシートで扱える程度の小問題に分解するよう援助者が誘導する。そして、「今、ここで何が問題となっているのか」を明らかにし、まずその問題をともに理解しようとする。


(kurage0147130):引用者:
 この本で学んだ、いまのところ068ページまでだけれど、最大のことは、大問題は解決しなくていい、眼の前の小さい問題に取り組み、小さい問題を解決していくこと、それが大事だ。

 僕は、大きな問題が解決されないからカウンセリングは物足りないとおもってきたけれど、そうではなくて、大きな問題は取り掛かれるものではないということ、これは僕の理解で本の示す通りか怪しいが。

 たぶん小さい問題は大きな問題の足掛かりで、もしくは大きな問題を内包している。だから小さい問題を解決することは大きな問題を解決することに通じるのだろう。そして、人間には小さい問題しか、眼の前の一歩しか扱えないという制約があるのだろうと想像するが、これは僕の先取りで本の意図といえるかわからないが。



 僕の引用を見て、興味があったら買ったほうがいいですよ。今のところ充実。元は取った。掘り出し物かもしれないし。このA子さん。リストカットは続いているけれど、回数が激減しているらしい。何の問題もない人らしいが、仕事のプレッシャーか何かでリストカットするようになったとか。人間どうなるのかわからないので他人事とは読めない気がする。リストカット問題は終わらないが、回数が減り、他の反応・紙くずをちぎったり酒を飲んだりするに振り替えたりしているので、それでいいのだろう。リストカットは自殺の行動をしないための防衛だったとの結論とか。酒豪でもあるそうで酔わないらしい。ウォッカが好きだとか。