82(男心 / 汚いやつ・僕のこと)

「男心」


 空に光るものがあった。そいつは大きくなり僕を吸い込んだ。そいつの中に僕は横たわり外の景色を眺めた。岩のような延々と続く景色だけが見えた。

心は乾き、ひび割れ、涙が出た。悲しいわけではなく、故郷を想うような気持だった。この心ももうすぐ終わるのだろうか。心が終わったら次の心はどんななのだろう。冷たく鈍く光るのだろうか。

僕は、地上に心を置き忘れてきた。もうロボットになるのかもしれない。


男心があるじゃあないか。大事なものだ。僕は男心と共にいこう。コイツがあれば何とかなるさ。やっていけるさ。




2015/08/21(Flyday・蠅をお祀りして崇め集う日)


 今日は調子が悪い日らしかった。

 スタッフにcardcaseをやらせてもらったのだけれど、僕は最近cardcaseを任せてもらってうまくなった女性ができていないのを知っていた。その女性を見下していた。

 僕はカードケースを縫い始めて、いつものようにできるだろうと踏んで用心が足りず、心配りも十分ではなかった。できたと思ったら、返しが変だった。やり直した。慢心が原因だった。やっているとき、女性をチラチラ見て、見下していた。

汚いやつだった。

失敗したことに気持ちがダウンした。そして、女性に対しても優越感を持っていたことにダウンした。

僕は最近cardcase作りを失敗していた女性に優越感を持つべきではなかった。
同じ作り手なのだから同じだよと思えばよかった。早く戻ってくればいいと。それなのに、見下した。ここが間違っていた。できてもできなくても同じ人間で、同じことをしていて、同じなんだと思えなかった。すぐ見下していた。

僕はバカで最低だった。だから僕はバカなんだと思った。失礼したことを女性に対して心の中で謝った。


 女性も何か感じていたと思う。最低だった。最低でバカだから僕なんだ。

僕は心の持ちようがバカにできている。だからこうやって書いていると言える。修正しないといけない。自分で理解してやり直さないといけない。

 僕は人間の中に、作業所の中に一人前置かせてもらって、その中で勉強させてもらっている。与えてもらっているからいろいろ不都合なことをやらかし、周りを不快にさせ、僕自身落ち込んで学ぶことを、場を持たせてもらっている。


 本人が働いているのではなく、学ばせてもらっているのだから必死にやるのは当たり前だ、

丹羽宇一郎(にわういちろう)・仕事学のすすめ
で仰っていた。

その話みたいに、僕も真剣に一生懸命やらないといけないのかも。
とにかく、僕は人間が子供なので、心の持ちようがブレテぶれて、しっかりしないとズレて行ってしまう。自分の心の持ちようは気を付けないといけない。ごめんなさい。






 帰りに地元で赤シャツの傘オヤジが現れた。狙ってきていた。拮抗して攻撃させなかった。やはり現れた。来ると思っていた。