読書

2014/11/3(Mon) お休み(明日も休み)



・トイレットからの発想、ヴァン・デァ・リン著 西村肇・小川彰 訳、ブルーバックス講談社、昭和55年

 この本、汲み取り式トイレの話が出てきて、期限切れだろうとは思った。でも、無駄な話が必要な時もあるし全部読んだ。

 第1章 トイレに関する歴史的・哲学的考察、
第2章切断された生態系の連鎖 

は、トイレや下水道について書いてあって興味深かった。この本は、翻訳だけではなく、訳者が注釈を入れたり、自分の活動を盛り込んだりしていて面白くなっている。


第五章(補)コンポスト・ボックス実験始末記
は、日本の最初のコンポストの記録。というとすごそうだけれど、充実していなくて軽く書いてある程度。そんなに現代に役立たない。現代ではコンポストは当たり前だけれど、なかった時に最初に関わった時のインパクトの凄さがあったのだろう。

第七章 都市下水道のしくみ
 は、名戸ヶ谷の自然遊水池について書いてあって、池の重要性が書かれていてこの当時での先進性がある。けれどブルドーザーによりこの池は破壊されたそうだ。現在に残してほしかった。池の水を浄化する力、子どもたちの遊び場、自然の豊かさが書かれた、当時としては現在の環境問題の何歩も先を行く内容だった。

 この本を読んで感じたのは、下水道事業は現在では必要となっているけれど、それが本当に必要な事業なのか疑問な視点で書かれている新しさがある。すごい金を注ぎ込んで、水を消毒するその金のかけ方、汚水を川や海に返すだけで、栄養物と見ない肥料として使わない視野の狭さを指摘している。もちろん時代錯誤だと切り捨てるのは簡単だろうけれど、下水道事業に対する別の視点を提示しているのは現在でも生きると思う。

 この本を読みなおして、実際は初めて最後まで読んだのだけれど、流したトイレットペーパーはどうなるんだ、という僕の疑問から始まった読書だった。けれど、現在の下水道システムに寄りかからない視点で見られたのは収穫だった。下水道事業についてもっと知りたいと思った。バクテリア分解が一番知りたいところ。水を消毒する、伝染病とかを起こさないためだと思うけれど、その強引なやり方は、別の方法がないだろうかと思う。お前無知だろうと言われそうだけれど、薬品で解決しようというのは僕の狭い視野では嫌なことだ。


・100分de名著 「菜根譚 洪自誠」、湯浅邦弘著、NHKテレビテキスト、2014/11

読み始めた。倫理的ですごくおもしろい。

p19~20

~「菜根」とは、宋の汪信民の言葉、
人、常に菜根を咬み得ば、即ち百事做すべし
([野菜の根は堅くて筋が多いけれど]いつもそれを苦にせずよく咬んでいれば、何事もなしとげられる。)


とても味わい深いタイトル名の謂われで、共感できる。苦しくても、苦しさを咬んでいればそこから新しい芽への道筋ができる、みたいな所だろうと思う。

 この本、成功を目指すのではなく、失敗というか苦しいところから出発していて、力みがなく、希望もなく、受動的積極性みたいな、負けを受け容れ、負けの中で編み出された言葉を発しているのだと思う。どう見ても、僕向きの本。

 北ガスの小広報紙が昔配られてきていて、その書いている、偉い人が、菜根譚を必ず引く人だった。だからその本を知っていた。でも当時、難しくて惹かれなかった。僕も歳をとり、老年に向かっているので今は読める。
第1回放送分まで読んだ。