シャベル




 自分の頭を叩いた。金が出てきて、次から次へと どんどん金が溢れてきた。
 
 その金を持ってスナックでばら撒いた。女にやたら持てた。


 店を出たら、外は木枯らしが吹き、冷たい風に背骨が凍った。

 犬も俺の酔った脚に小便を引っ掛けようとした。この糞犬め!

 帰りの電車賃を女にやってしまい、いいところを見せたんだ、夜道をとぼとぼと歩いた。

 星空が、顔をあげた目に滲みた。


 女がカラオケで歌っている声が、夜道にも流れ届いてくる。下手な歌だ。下腹を波打たせて歌っているのだろう。

 俺は突き動かされ、電柱に登って、犬のように遠吠えを発した。


     ワオーンッ。



 電柱から降り、他人の庭に入り込んで、蛇口を失敬し水を飲む。




・ 俺に必要なのは太陽だ。カッと照りつけ、ヒリヒリするお天道様が欲しい。太陽に手を伸ばし俺の心臓をつかみたい。

これだけ脈打っているのだと証明してやる。大地に雨を降らし、草木を行き返らせ、乾いた大地を潤して、シャベルを突き刺してやる。